実行委員長あいさつ | 日本微生物生態学会 第32回大会

実行委員長あいさつ

Let’s make a delicious 「チャンプルー」

 近年、次世代シーケンサーが現世代シーケンサーとなり、培養されたこともない微生物の全ゲノムが公開され、複雑な微生物コミュニティーの代謝ネットワークがディスプレイに表示される時代となりました。微生物の知見も他の分野同様に急速に「バーチャル」に構築されつつあります。しかしながら「バーチャル」を「リアル」にするためには、実際に微生物を培養して調べることが必要不可欠だと思われます。このような状況において、ゲノム情報処理や培養技術も多様化、専門化が進み、もはや研究を一人で遂行できる時代ではなくなっています。いずれのテーマにおいても様々な技術や知見を持つ研究者が協力することで、より深遠な研究が可能になると考えます。

 研究者が出会い、直接交わる機会はやはり学会の年次大会などの学術集会です。本学会では過去の大会において、学会や大会の是非について公開討論が行われましたが、最後は満場一致(?)で「学会、大会は必要である」という結論に至りました。このような議論を公に行える本学会の懐の深さを感じざるを得ない出来事でしたが、こうした背景には、学会、大会への「閉そく感」や、「楽しくない側面」が少なからず存在するからだろうと考えます。研究者の交流の場を楽しいものにすることは、その分野の発展にとって極めて重要なことだと考えます。

 来たる日本微生物生態学会第32回大会は、初めて沖縄県での開催となります。沖縄県はかつて琉球王国という独立した国家でした。琉球王国は14~16世紀にかけて、東アジアの中継貿易国として重要な役割を果たすとともに大きく繁栄しました。琉球舞踊などの独自の伝統芸能も外国の来賓をもてなすものとして発展したものです。琉球の人々にとって「人と広く交わること」は、利益をもたらすものであると同時に、異文化に触れる「楽しいもの」であったのだろうと想像しています。このことは広く交易を続けていく上で大きなモチベーションとなったことでしょう。

 その一方で、沖縄の郷土料理の名で知られる「チャンプルー」とは混ぜ合わせることを意味します。この言葉は東南アジアでも同じ意味で使われており、沖縄の広い文化交流の歴史を示す象徴的な言葉となっています。本大会は、第10回を迎えるAsian Symposium on Microbial Ecology(ASME)との同時開催となり、国内のみならずアジアの研究者との交流の場ともなります。研究における様々な見識やアイデアを持つ人々を混ぜ合わせ、おいしい「チャンプルー」を創ることで、本大会がアジアひいては世界の微生物研究をさらに発展させて行く一助となれば幸いです。

 最後に、7月の沖縄は梅雨明けのベストシーズンを迎え、会場となる沖縄コンベンションセンターはビーチに隣接する最高のロケーションであります。沖縄大会はこれまでにない記憶に残るものになると確信しております。遠方での開催となりますが、皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

委員長 新里尚也写真 日本微生物生態学会第32回大会実行委員会
委員長 新里尚也
    (琉球大学熱帯生物圏研究センター)

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